寝てもなかなか疲れがとれない、いびきがうるさいと指摘された。それ、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
今回は睡眠時無呼吸症候群について、ちょこっと深堀していきます。
当クリニックInstagram『睡眠時無呼吸症候群について』でもまとめています。
良ければそちらもご覧いただければ、幸いです。
また当院ブログ「よい眠りってなに?」もご参照ください。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(以下、SAS)とは、睡眠中に呼吸が停止することで生じる症状の総称のことです。
日本におけるSASの罹患率は男性で約14%、女性で約6%
高齢者になるほど発症率が高くなります。
SASの原因は
上気道の狭窄や閉塞などによって空気が流れにくくなり、呼吸が停止することです。
この状態が繰り返されることで、睡眠の質が低下し、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下などの症状が現れることがあります。
また、SASは高血圧や心臓病、脳卒中などの重篤な疾患のリスク因子とされています。
SASの症状は
・いびき
・睡眠中に一時的に呼吸が止まる(アポネア)
・眠りが浅く、眠りの質が低下する
・睡眠中に突然目が覚めることがある(覚醒)
・朝起きたときに頭痛やのどの痛み、のどの渇きを感じることがある
・日中の眠気や倦怠感、集中力の低下、イライラなど
SASの検査は
ポリソムノグラフィ(以下、PSG)と呼ばれる検査
PSGは、睡眠中の脳波、筋電図、心電図などの情報を計測し、睡眠中の状態を詳しく調べる検査です。
また、SASの程度を評価するために、アポネア・ヒポプネア指数(以下、AHIと略す)という指数が使われます。
AHIは、睡眠中に起こるアポネアやヒポプネア(一時的な呼吸困難)の回数を1時間あたりに計測したものです。
AHIが5以上の場合はSASと診断されます。
SASの治療は
・軽~中症の場合
生活習慣の改善や体重の減少、運動などの自己管理が有効です。
睡眠時の体位を変えることや、アルコールや喫煙の習慣を改めることも効果があります。
・重症の場合
医療機器の使用が必要となります。
最も一般的な治療法は、持続陽圧呼吸療法(CPAP)です。
CPAPは、鼻や口にマスクを装着し、機器から送られる空気の圧力で上気道を開放することで、呼吸障害を改善する治療法です。
CPAPは、SASの症状の改善に高い効果があります
しかし、マスクの着用感や騒音、乾燥などの副作用もあるため、患者さんにとっては使いにくい場合があります。
・その他の治療
口腔内装置の使用や、口腔外科手術、上気道筋肉トレーニングなどの治療法
SASの治療は、継続的な治療が必要です。治療を怠ると、重篤な合併症を引き起こすリスクが高まるため、定期的な検査や医師のフォローアップが必要です。
参考文献
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020 日本呼吸器学会